来鶴廬
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二〇十二の新年を迎えて
 
   新年一月二十三日は陰暦の正月元旦で当日東京・横浜は雪が降った。

 中国では正月に雪が降ることを「瑞雪」といって瑞兆であると言う。

 翌二十四日は、文京シビック小ホール「心はるばると冬に歌う」と銘うった荘魯迅さんのコンサートに出かけた。

 彼はコンサートの締めくくりに人口に膾炙されている「史記・刺客列伝」の荊軻作

    「風は粛々として易水寒し 荘士一たび去って復た還らず」

を体をふるわせて熱っぽく唱った。

 聴いていてゴッホの絵を評した一片のフレーズを思った。

     Brush Is Power
     Power Is Passion
 
 パッションは地球の核にあるどろどろしたマグマの如く、時に地表に噴出して流れ出すふだんは内に秘め静かであるが炎のように燃えたぎっている。

 私も古希を迎えてうずみ火をおこして瑞々しい作品をつくり出したいとしきりに思う昨今である。

 「感激を消滅する事は人世から存在を辞する事である。」 坂本繁二郎


                                2012年1月  碧ー 
 
 


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