来鶴廬
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何必館開館三十周年記念華岳展を見る
 
   平成二十二年京都現代美術館(何必館)に会期が終わる二日前に京都に出かける。

 もう大分以前の東京北の丸公園国立近代美術館で村上華岳回顧展以来のことだが華岳の画は画集でよくみていた。

 大正七年に国画創作協会(国展)を結成してから昭和三年に当協会が解散するまで華岳は重きをおかれて参画してきた。画家という立場で個人と組織との相克に悩み制作してきたことが[書論]によくにじんでいる。

 久しぶりに再読する

   [書を成さむ]
    書を成さむとするとき
    先ず正気を喚起すべし
   −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
    書は腹から確かりしてこねばだめだ
       腹を確かりするとは(戒)     生活法だ
       腹を確かりするとは(禅定)    生活法だ
    相共に具足しておのずから立派な書ができる。

 この展観で華岳の書をはじめて十点ほどみた。一休宗純[春衣行路][法語]の数点は印象に残ったがこれは宗教人の書だと直観した。一休宗純の書とどこか通じているところがある。

 館長の梶川芳友は[華岳書小観]の中で
[その画と同じように線描に特徴があり、暗黒の穢土と清澄な浄土が墨線に含まれているのである」と言っている。
 
 
kagaku1
 
 
    
春衣行路  村上華岳
 
 

 私は華岳の画の中では山水の水墨画に特に魅せられていたのだが今回は堪能した。[秋寂][懸崖夏景図][潤石雨冷][寒岫枯林図]は幾度も行ったり来たりして時間をかけてゆっくり目に焼きつけようとしていた。

 都会の喧騒から離れて四十歳で神戸花隈の旧居に帰り、画壇から遠ざかり五十二歳で永眠する華岳の生き方を思っていた。
 
 
kagaku1
 
 
    
秋寂  村上華岳
 
 


                                2013年1月  碧ー 
 
 


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